パニック障害

パニック発作のすぐできる対処法3選!病院受診の目安も紹介

「また、パニック発作が出たらどうしよう」
「仕事や外出先で倒れてしまわないか不安…」

パニック発作による動悸や息苦しさ、強い不安が日常生活に支障をきたしている方は少なくありません。

パニック発作は事前に対処法を知っておくことで長引きにくく、落ち着くまでの時間も短縮しやすくなる場合があります。一方で、正しい対処法がわからないままでは不安の連鎖が起こりやすくなり、発作への恐怖が生活全体に影響する場合もあるでしょう。

本記事ではパニック発作が起きたときの対処法をはじめ、日常生活での予防策や、病院への受診の目安などを解説します。また、出勤中の電車内や大事な会議の前など、逃げ場のない場所で不安に襲われた時のお守りになる、具体的な方法をお伝えします。

この記事を参考に、発作に悩まない暮らしを目指すために、正しい知識と対処法を身につけましょう。

監修

尾西こころのクリニック
院長 河邊眞好

名古屋市立大学医学を卒業後、複数の精神科病院で急性期・慢性期・認知症医療・訪問診療等に従事。稲沢厚生病院部⾧を経て、現在は医療法人優真会尾西こころのクリニック院⾧として地域に密接した精神医療に尽力しています。

パニック発作が起きたとき、まずできる対処法 

パニック発作が起きたときに適切な対処ができると、発作中のつらさを和らげ、落ち着くまでの時間を短くできる場合があります。ここからは、パニック発作が起きたときの対処法を3つにまとめて解説します。

リラックスした姿勢を取る

パニック発作が起きたときは、まずリラックスした姿勢を取りましょう。

発作中は交感神経が急激に興奮し、動悸や血圧が上昇している状態です。身体の力を抜いて副交感神経を働かせることで、落ち着きやすくなる場合があります。

具体的には、下記のような動作が取り入れやすいです。

  • 肩の力を抜いて座るか横になる
  • 首や腰など締め付けの強い衣類(ネクタイやベルトなど)は緩める
  • 漸進的筋弛緩法をおこなう

漸進的筋弛緩法は、筋肉を意識的に緊張(力を入れる)させた後に一気に力を抜き、緊張した状態と脱力した状態の感覚の違いを味わいながら、身体全体のリラクゼーションを促す方法です。[1]両手で行う場合は、ひじを曲げて握り拳を作り、5秒ほど力を入れます。その後一気に力を抜き、脱力した状態を20秒ほど続けます。

特に発作中は「リラックスする」ことが難しいため、手順の少なさが重要です。ストレスをできる限り取り除き、発作が落ちつくのを待ちましょう。

呼吸法を取り入れる

パニック発作が起きたとき、すぐできる対処法の1つに呼吸法があります。発作中は過換気になりやすく、規則的な呼吸が難しくなるため、意識的な呼吸をすることで症状が落ち着きやすくなります。

具体的な方法は、以下の通りです。[2

  • まず、口からゆっくり息を吐く。この際、頭の中で「1・2・3」と3秒数えながら吐き出す
  • 息を吐ききったら、鼻からゆっくり息を吸う。上記と同じように3秒数えながら吸い込む
  • 「吐く→吸う」の呼吸を、5〜10分ほど繰り返す

普段から身につけておき、不安や緊張が高まったときに試してみてください。

静かな場所へ移動して休む

パニック発作が起きた時は、騒音や光を避け、静かな場所へ移動しましょう。パニック状態の脳は周囲の情報に対して過敏になっているため、刺激を減らすことで回復に集中できます。また、休息することで動悸や息切れなど、自律神経の興奮もしずめられます。

発作の予兆を感じる前に、優先的に休める場所を探しておくこともおすすめです。電車やバスなどの公共機関では、出入り口に近い場所を確保しておくとよいでしょう。

体調の変化が起きた場合でも、「すぐに外に出られる」とわかっているだけで安心感がうまれます。不安が一気に強まるのを防ぎやすくなるでしょう。

自力での移動が難しい場合は、近くにいる方の力を借りたり、無理せずその場にしゃがみ込んで重心を低くしたりしましょう。


日常生活でできるパニック障害への対処法

ここでは、日常生活でできるパニック障害への対処法と効果を表でまとめています。自分でできるものばかりなので、ぜひチェックしてみてください。

対処法 効果
場所や時間など、発作の情報をまとめておく 発作の傾向がわかる
近しい人物に症状や行先などを伝えておく 外出先での不調に備えられる
緊急時に備えて携帯電話を持ち歩く 家族や近しい人物に連絡がとれる
睡眠不足やアルコールなど生活習慣を改善する 自律神経を乱す要因を減らし発作を起こしにくくする
カフェイン(コーヒー、エナジードリンク)を減らす 動悸や不安を起こす原因を減らせる
ジョギングやストレッチなど、軽い運動を取り入れる 気分転換になる
体力をつけ発作を起こしにくくする


カフェインは、神経を興奮させる作用があるため、[3量によっては不安やパニック発作を強めるケースがあります。カフェイン含有量は食品や飲料によって異なるため一概には言えませんが、コーヒーは飲みすぎないように気を付けておくと安心です。

日本茶やチョコレートなどにもカフェインが含まれているため、注意しましょう。

 

対処法を試してもつらさが続く場合 

つらさが続き、症状が治らないと感じる場合は、パニック障害が慢性化・悪化している可能性があります。

また、パニック発作を繰り返すうちに予期不安(また起きたらどうしようと不安になること)や広場恐怖(発作が起きるかもしれないと思い特定の場所や場面を避けること)が見られ、うつ病やアルコール依存などの精神疾患を併発することもあるため注意が必要です。

パニック障害は未治療の場合は慢性的な経過をたどり、症状が悪くなったり落ち着いたりを繰り返します。治療開始から6〜10年後の状態については、約30%が健康な状態まで回復し、40〜50%は改善しているものの症状が一部残り、20〜30%はほとんど変わらない、あるいは悪化しているという報告があります。[4

症状が安定しない、また、簡単に「治った」といえない見通しの悪さは、パニック発作を抱える方を悩ませるでしょう。

パニック障害のように長期的な観察が必要な病気の場合、一人で抱え込まず医療機関や専門家への相談が回復の近道です。


医療機関でおこなわれるパニック障害の対処法

ここからは、医療機関でおこなわれるパニック障害の対処法を解説します。パニック障害の対処法は、薬物療法と精神療法にわけられます。

薬物療法

病院でおこなうパニック障害の対処の1つが、薬物療法です。下記に薬物療法の種類と特徴を解説しています。

<パニック障害の薬物療法>

薬の種類 特徴
選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)

・脳内でセロトニンの再取り込みを阻害し、セロトニンの働きを増強する
・発作の強度や頻度を抑える

セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI) ・セロトニンのほかにノルアドレナリンの再取り込みを抑制する
・神経伝達物質のバランスを整え発作を軽減する
ベンゾジアゼピン系抗不安薬 ・急性の不安発作を一時的に鎮静する
・長期投与の耐性や依存の問題がある


パニック障害のガイドラインでは、SSRI・SNRIが治療選択のひとつとしてあげられています。[4]ベンゾジアゼピン系抗不安薬に関しては比較的即効性がありますが、長期使用による依存性や離脱症状が問題となることもあり、長期使用には注意が必要です。

薬物療法の副作用や服用期間など不安があれば専門医に相談し、納得して治療を開始しましょう。

精神療法

薬物療法以外の対処法にあげられるのが、精神療法です。思考や行動のクセを変化させることでパニック障害や発作に向き合います。

精神療法には多くの種類がありますが、代表的なものには下記があげられます。

  • 認知行動療法(CBT)
  • 曝露療法
  • マインドフルネス認知療法
  • 支持的精神療法

パニック障害の認知行動療法では、考え方や行動のパターンに気づき、不安や落ち込みなどの症状を回避することを目的に実施します。[5

こころと身体は密接に関係しあうため、思考や行動のクセから変え、身体の症状を落ちつかせるのが精神療法です。


受診の目安

2回以上のパニック発作を経験し、また起きるのではないかという予期不安や回避行動が1ヶ月以上続いている場合は、心療内科や精神科の受診を検討しましょう[4

特に下記のようなサインは、パニック障害を発症している可能性が高いと考えられます。

  • 発作の回数や強さが増してきた
  • 発作が不安で外出や仕事に支障をきたしている
  • 発作を起こしやすい状況や場所を意図的に避けている
  • アルコールや過食、夜更かしなどでストレス発散している

パニック障害は再発しやすく、治療が長引きやすい病気です。うつ病やアルコール依存などを併発する場合もあるため、早期に専門家へ相談することで悪化が防げます。

発作に限らず、メンタルヘルスを相談できる精神科のかかりつけをもつことで、パニック障害が和らぐ可能性も少なくありません。


まとめ|パニック障害の対処法に悩んでいる方に

本記事では、パニック障害の対処法に悩んでいる方へ、すぐできる対処法や医療機関へ相談する目安をお伝えしました。

対処法を試しても症状が和らぐ様子がなく、発作の頻度が増えている場合は一度医療機関へ相談してみましょう。

症状が和らぐと、発作の不安に怯えず、仕事や余暇時間を有意義に過ごせるようになります。本記事が、パニック発作に悩んでいる方の参考になると幸いです。


参考

[1]独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構障害者職業総合センター|実践報告書No.36発達障害者のワークシステム・サポートプログラム リラクゼーション技能トレーニングの改良|7 リラクゼーション紹介講座(2)漸進的筋弛緩法

[2]厚生労働省 こころもメンテしよう|腹式呼吸をくりかえす

[3]農林水産省|カフェインの過剰摂取について

[4]日本神経精神薬理学会|パニック症診療ガイドラインの作成と公開について|パニック章診療ガイドライン第1.1版

[5]認知行動療法センター|認知行動療法(CBT)とは