統合失調症は何科を受診する?家族が気づいたときの相談先と受診前の準備

家族の様子が以前と違い、「統合失調症かもしれない」「何科に相談すればよいのだろう」と不安を感じていませんか。
『周囲には聞こえない声に反応しているように見える』
『誰かに見張られていると訴える』
『会話がかみ合いにくい』
このような変化があると、家族としてどのように対応すればよいか迷うこともあるでしょう。
統合失調症が疑われる場合は、心療内科・精神科で相談できます。受診前に本人の様子を整理しておくと、医師に状況を伝えやすくなります。
本記事では、統合失調症が心配なときの受診先、家族が受診を考えた方がよいサイン、本人が受診を嫌がる場合の対応、受診前に準備しておきたい情報について解説します。
監修
尾西こころのクリニック
院長 河邊眞好
名古屋市立大学医学を卒業後、複数の精神科病院で急性期・慢性期・認知症医療・訪問診療等に従事。稲沢厚生病院部⾧を経て、現在は医療法人優真会尾西こころのクリニック院⾧として地域に密接した精神医療に尽力しています。
統合失調症かもと思ったら何科を受診する?
家族が統合失調症かもしれないと思っても、何科を受診すればよいか悩む方もいるでしょう。ここでは統合失調症を疑う際の受診先や本人が受診を拒んだ場合の対応法について解説します。
幻聴や妄想が疑われる場合は、心療内科・精神科に相談する
幻聴や妄想などの症状が疑われる場合は、心療内科・精神科に相談できます。
病院やクリニックの診療科に「心療内科・精神科」と記載がある場合は、まずその医療機関の初診予約窓口に相談してみましょう。
心療内科・精神科では、本人や家族から話を聞きながら、現在の状態を確認します。診察では、幻聴や妄想が疑われる言動だけでなく、睡眠や食事の変化、仕事や学校への影響、家族との関係、これまでの経過などを踏まえて、必要な対応を検討します。
予約時には、「統合失調症かもしれない」と病名を伝えるよりも、「周囲には聞こえない声に反応しているように見える」「見張られていると訴えている」「会話がかみ合いにくくなった」など、家族から見た様子を具体的に伝えると、受診の対象になるか確認しやすくなるでしょう。
本人が受診を嫌がる場合は、家族だけで相談できるか確認する
統合失調症では、周囲には認識できない声が本人には聞こえるように感じられたり、周囲が訂正しても考えを受け入れにくかったりすることがあります。[1]そのため、本人よりも家族が先に異変に気づくケースも少なくありません。
なかには本人が症状を自覚しにくく、受診を拒否する方もいるでしょう。本人が受診を嫌がる場合でも、医療機関によっては、家族からの相談に対応している場合があります。
本人が受診を嫌がる場合は、家族だけで相談できるか、本人の受診が必要かを事前に医療機関へ確認しておくとよいでしょう。
医療機関への相談が難しい場合は、地域の保健所、保健センター、精神保健福祉センターなどの公的な相談窓口を利用する方法もあります。本人への声のかけ方や、受診につなげるための対応について相談できる場合があります。
家族が受診を考えた方がよいサイン
ここでは、家族が心療内科や精神科の受診を検討した方がよい症状についてご紹介します。
幻聴や妄想が疑われる言動がある
統合失調症では、幻聴や妄想がみられることがあります。幻聴や妄想の具体例は以下の通りです。
- 幻聴
周囲には聞こえない声が本人には聞こえるように感じられる症状
例)周囲に誰もいないのに、何かに向かって話をしている
「誰かに自分の悪口を言われている」と話す
幻聴がある場合、本人にとっては実際に声が聞こえているように感じられるため、不安や恐怖から周囲に確認したり、声に反応したりすることがあります。
- 妄想
事実とは異なる内容であっても、本人が強く信じている
例)「近所の人が自分のことをずっと監視している」と強く訴える
「職場の人が自分を陥れようとしている」と確信している
妄想は周囲が説明しても考えが変わりにくく、本人の中では事実として受け止められている場合があります。
関連記事:幻聴が聞こえる原因は?|統合失調症の症状や原因、治療法を解説
生活への支障が出ている
幻覚や妄想により、日常生活に影響が出ている場合は、早めの受診を検討してもよさそうです。
たとえば次のような状況がないか、本人の様子を確認してみましょう。
- 「誰かに見張られている」と感じ、外出を避けるようになった
- 悪口を言われていると思い込み、家族や周囲の人に強く確認する
- 不安や恐怖が強くなり、仕事や学校を休むことが増えた
- 誰もいない場所に向かって話しかけたり、怒ったりしている
- 周囲の説明を受けても考えが変わらず、家族との言い合いが増えている
- 食事や入浴、睡眠など、普段の生活リズムが大きく乱れている
統合失調症は幻覚や妄想のほか、行動や人間関係への影響がでることが分かっています。[2]
本人が受診を嫌がるときの家族の対応
本人が受診を嫌がる場合、「統合失調症かもしれないから病院に行こう」と病名を出して説得しようとすると、かえって警戒心が強くなることがあります。
まずは本人が実際に困っていることを入口にして声をかけるとよいでしょう。たとえば、以下のような伝え方があります。
「最近眠れていないようで心配だから、一度相談してみない?」
「不安が強そうに見えるから、少し楽になる方法を聞いてみよう」
「外に出るのがつらそうだから、生活の困りごととして相談してみよう」
「病気かどうかを決めるためではなく、今のつらさを軽くする方法を一緒に聞きに行こう」
幻聴や妄想の内容を頭ごなしに否定すると、本人は「わかってもらえない」と感じ、家族との関係が悪化することもあります。内容の正しさを言い争うのではなく、「怖かったんだね」「不安だったんだね」と気持ちを受け止めたうえで、眠れない、外出できない、仕事や学校に行けないなどの生活上の困りごとに目を向けることを意識してみましょう。
家族が受診前に準備しておくとよい情報
精神科の受診では、本人が診察室でうまく状況を説明できない場合もあります。家族が普段の様子をメモしておくと、医師に生活上の変化や困りごとを伝えやすくなります。
いつから、どのような変化があるか
まずは、本人の様子が「いつ頃から」「どのように」変わったのかを整理しておきましょう。統合失調症では、前述したように、幻覚や妄想、思考の混乱などにより、日常生活に大きな影響が出ることがあります。
たとえば、以下のような内容をメモしておくと、診察時に伝えやすくなるでしょう。
- いつ頃から様子が変わったか
- きっかけと思われる出来事があったか
- どのような発言や行動が増えたか
- 症状が強く出やすい時間帯や場面があるか
- 以前と比べて表情、会話量、外出頻度などに変化があるか
たとえば、「2か月ほど前から眠れない日が増えた」「ここ1か月で“監視されている”と話すことが増えた」「最近は部屋にこもる時間が長くなった」など、時期と具体的な様子をあわせて記録しておくとよいでしょう。
本人が困っていること・家族が困っていること
受診時は、症状名だけでなく、本人や家族が実際に困っていることを伝えることも大切です。
本人が困っていることとしては、たとえば以下のような内容があります。
- 眠れない
- 不安や恐怖が強い
- 外出できない
- 仕事や学校に行けない
- 人と会うのがつらい
- 悪口を言われている気がして落ち着かない
一方で、家族側の困りごとも整理しておきましょう。
- 妄想の内容を否定すると怒ってしまう
- 家族との言い合いが増えている
- 食事や入浴を促しても応じない
- 夜間に起きて話し続けるため、家族も眠れない
- 受診をすすめても拒否される
本人のつらさと家族の困りごとは、どちらも今後の支援を考えるうえで参考になります。「本人は何に困っているか」「家族はどの場面で対応に困っているか」を分けて整理しておくと、相談しやすくなります。
睡眠・食事・服薬・既往歴
睡眠や食事の変化、現在飲んでいる薬、過去にかかった病気なども、受診時に確認されることがあります。心療内科や精神科の初診では、現在の症状だけでなく、生活状況、睡眠・食事、既往歴、服薬状況などを確認する流れも多いです。
以下の内容を、わかる範囲でまとめておきましょう。
- 睡眠:寝つき、途中で起きる頻度、昼夜逆転の有無
- 食事:食欲の変化、食事量、急な体重変化
- 服薬:現在飲んでいる薬、市販薬、サプリメント
- 既往歴:過去にかかった病気、入院歴、精神科・心療内科の受診歴
- アレルギー:薬や食べ物で体調を崩した経験
- 飲酒・喫煙:量や頻度
すべてを完璧にまとめる必要はありません。思い出せる範囲でメモを作り、受診時に本人の同意を得ながら医師へ共有するとよいでしょう。
統合失調症が心配なときは家族だけで抱え込まず相談を
統合失調症が心配なとき、本人の言動に戸惑ったり、受診をすすめても拒まれたりして、家族だけで抱え込んでしまうことがあります。
幻聴や妄想が疑われる様子、生活リズムの乱れ、仕事や学校への影響が続く場合は、早めに専門機関へ相談しましょう。
尾西こころのクリニックでは、本人の症状に加えて、ご家族が感じている困りごともお話を伺います。受診に迷う場合も、まずは現在の困りごとを整理し、相談できる方法を確認してみてください。
参考
